Monthly Archives: November 2012

印鑑登録出来るはんこの条件について

印鑑登録ができるはんこって、役所に代ってビミョーに違います
※2012年11月22日 一部情報に誤りがあったので、訂正させていただきました。失礼いたしました。

昨日は、はんこの「文字のルール」について話しましたが、実印として印鑑登録できるためのルールは文字だけに限りません。本日はその内容について記載いたします。

まず大前提なんですが、印鑑登録できる出来ないの「基準」は統一されてません。各地方自治体でそれぞれ決められてますので、以下の内容は貴方が住んでいる自治体の基準とは少なからず違います
ですので、参考にするんは良いのですが、保証はできないので、正確な情報は役所に問い合わせてください


■大きさ

「大きさ」というのは、はんこ本体ではなく印影(印面)大きさの事です。
当店のある大阪府茨木市では「8mm四方の正方形からはみ出る大きさで、25mm四方の正方形からはみ出さない大きさ」ってなってます。
自治体によって多少大きさの基準の違いはあるでしょうが、大抵は直径1ミリ直径1センチの認印サイズから、2センチぐらいの角印まで登録可能と考えられます。


■文字

結論から言えば、ご自身(はんこ所有者となる方)のご氏名がフルネームで入ってたら、絶対大丈夫です。
大抵の自治体は、印鑑登録の条件として、

  • 苗字もしくは名前が入っている事
  • 名前と無関係の文字が入ってない事(職業や肩書など)

と記載されています。ただ、風の噂で一部の自治体ではフルネームで無いと印鑑登録できないってところがあるらしいと聞いた事がありますので、注意が必要です。
それと、例外として「(名前)之印」「(名前)ノ章」などの表現は慣例として認められることが多いみたいです。

あと、苗字で印鑑登録可能である場合、同居(同世帯)の方で印鑑登録済の印影のはんこは登録NGです。これは家族での実印の使いまわしがトラブルの元になるからです。

なお、文字の種類は原則として問いません。別にはんこらしい文字でなくても、判別できれば登録できます。また、お名前に旧字体などの、常用漢字とは異なる字が入っている方は、常用漢字に代える事は可能なようです。

ちなみに、大阪府茨木市では「名前と苗字の一部を組み合わせたもの」が印鑑登録できるとあります。私の場合は苗字が「野田」、名前が「将弘」なんで、「野将」ってはんこが印鑑登録できるという事になります。ただ、これはNGの自治体が多そうなんで、引越しのことを考えるとお勧めできませんね…。


■その他

模様の入った印影のはんこってのは印鑑登録できない場合が多いようです(出来る自治体もあります)
あとは、以下のはんこは一般的にNGとされます。

  • ゴムなど変形しやすい素材で出来たもの
  • 印影が鮮明でないもの
  • その他、登録を受ける印鑑として適切でないもの

最後の項目は「なんかあった時にどうとでも対処できるように…」って感じで付け足したって感じでしょうね…。

まあ実はこの最後の項目が、微妙にややこしかったりします。それについては明日お話ししたいと思います。

印鑑登録出来るはんこ。出来ないはんこ[補足]

印鑑登録の基準に合致? さてこのはんこ、ほんまに印鑑登録できるんかいな? 印鑑登録の基準ってのは、先日の投稿でほとんど紹介しましたが、それで完璧という訳ではありません。今回はその内容を「補足」として記載します。

その投稿でも申しましたが、印鑑登録出来ないはんことして、大抵最後に「その他、登録を受ける印鑑として適切でないもの」という記載があったりします。
これはすなわち、「いざとなったらNGにする場合もある」という事です。

その最たる例が「既成認印」ですです。
市町村役所の基準で「既製品はダメ」って書いてあったら言うまでもなくNGなのですが、そうでない場合でもNGになる場合があります。
更に申し上げると、家族が既成認印で印鑑登録できたので、今回別の既成認印を印鑑登録しようとしたところ、「ダメ!」といわれる場合があります
※同世帯の別の方と同じ印影のものは、今回とは別に印鑑登録NGとなります。上記は印影が違ったとしてもNGとなるケースです。

要は、その「OKかNGか」の判断が、役所の担当の方で色々変わる場合があるという事です。「印鑑登録として適当でないもの」かどうかは、その担当の人が決める、という事なんでしょうか…。

上記のように、細かい部分で基準は統一されてませんので「誰かがOKだったって言ってたから、今回もOKだろう」と言うわけには行きません。その点ご注意くださいませ。

銀行印は本名で彫らんでもええみたい

あだ名のはんこでも銀行印登録できる? 先日まで、印鑑登録(実印)の登録基準や制度の是非について話してましたが、今回は銀行印について話します。

 実は銀行印の判断基準って、実印と比べると総じてメチャクチャゆるいと言えます。もちろん、各銀行などによって基準が違うんでしょうけどね。

 一番大きいのは「名前と関係ない字が入っててもOK」というケースが見られるところです。僕の知り合いの方はあだ名で銀行印登録してますし、うちの店主も、仕事用の銀行口座は、実店舗名である「摂津印章」と言うはんこを銀行印にしています(法人じゃないんですよ!)

 あと、名前と無関係な絵や模様なども「煩雑で判断が困難でなければOK 」と言うことが多いようです。実際、たまにニュースに出る絵入りのはんこなどで「銀行印として登録できた」と紹介されてるのを見たことがあります

 銀行印がこれだけ基準がゆるいと「なんでや?」ってなるかもしれませんね。実は、それには大きなわけがあるんです。それは明日お話しますわ!

「おしゃれはんこ」が「オシャレ」とは限らんと断言する理由

オシャレなはんこに見える? いやでも実は… これ、ホンマに注意した方が良いですよ。
 はんこの側面、っていうかはんこ本体は、持ってる本人からすれば良く目に付くんで、おしゃれな外見にしたくなるってのは分かります。
 ほやけど、はんこ本体ってのは他人が目にする事がほとんど無いんですわ。

 いや、べつに他人に見られないところをオシャレするんは別にエエんですよ。でも、そこまでオシャレしといて、他人に一番目に付くところがみすぼらしかったら恥ずかしいでしょ? と言いたいわけです。

 オシャレなはんこを求められるからには、そんな失敗はしたく無いですやんね。

 え? 「はんこで一番目に付くところってどこ?」って? もちろん印影ですよ。捺印した書類はいろんな人が目にしますからね!

 ほな、はんこ本体も印影も綺麗なやつにしたら…と思いますよね。それがちょっと問題あるんですわ。それについては次回お話します。

「おしゃれはんこ」が大抵「オシャレ」やない理由

はんこ本体も印影もオシャレなはんこ? それ、結構難しいんですわ タイトルが似てますが、前回の「おしゃれはんこ」が「オシャレ」とは限らんと断言する理由 とは違うコンテンツです。

 前回、「はんこ本体がオシャレでも、他人が目にするんは印影やからそっちがオシャレでないと意味無いで」って話をしました。

 ほな、「はんこ本体がオシャレで、印影もオシャレ(綺麗)なものを選べばいいんちやうの?」ってなりますよね。
 でも、実はそれってメチャクチャ少ないんです。少なくとも材質がプラスチック系のはんこやと絶望的なレベルでしょう。

 実は「おしゃれはんこの印影は、往々にして手抜きで作られてる」んですわ。

 どういう事? って思いました? 実はおしゃれはんこって原価が結構高いんです。で、高い原価を補うために、ほとんどの店は彫刻にコストを極力かけないようにして売ってるんです。
おしゃれはんこの印面 先日書いた、激安で文字コードを入力するだけで彫れるはんこ彫刻機。おしゃれはんこのほとんどがこの彫刻機で彫られています。印影は手抜きなんでオシャレって言うには程遠いデザインですし、印影デザインはほとんど同じ。
 僕に言わせたら、下着は高級ブランドやけど一番目に付くところは量販店の安物っていうファッションで「オシャレよね?」って思いながら歩いてる様なモンなんです。そう考えると、ちょっと…というか、かなり複雑な気分になってしまいますやんね?

 ちなみに、「ちゃんとした職人におしゃれはんこを彫ってもらおう」って選択肢もありますが、技術料が全然違います。多分値段は倍ぐらいになるでしょう。

 それでも貴方は買いますか? 残念ながら、いくら「本体より印影が綺麗なほうが大事」と言っても、値段が倍になるって言うと躊躇する人がほとんどやないかと思うんです。これが「難しい」って言う理由なんですわ。

なんで実印は「フルネームが良い」って言うの?

はんこ屋が実印にフルネームを勧めるのは儲けたいから… って勝手に決め付けんといて!! 以前、どこかのQ&Aサイトで「実印ってフルネームで無いとダメなんですか?」っていう質問があり、その回答で「大抵は苗字だけでも登録できますよ」と言うのが載っていました。

 これは以前書いた実印の登録条件にもあるとおりで、間違いではないんですが、そのQ&Aページの下の方を見ていくと、「フルネームのほうが高いから、高いもの買わせようって言うはんこ屋の策略ですね」っていう表記がありました。

違うわ!
何でもかんでも高いもの買わせたいんやったら、銀行印もフルネーム勧めるわ!
ちゃんと理由があるんじゃ!!

…あ、すんません熱くなって……(反省)

 えっと、実印をフルネームで勧める理由はちゃんとあるんです。昨日も書いたように、実印は役所で登録するけど、実印を使う相手は役所ではありません。車の契約するときはディーラーさん。家を買うときは不動産屋が実印を使う相手です。

 いくら印鑑登録できたはんこを持ってきたところで、契約相手が「そんなはんこじゃ契約できんわ」って言われたらおしまいなんですわ
 「そんな事ないやろ」って思うかもしれませんが、過去に一度だけ、当店に「フルネームのはんこで無いと契約できないから実印を作り変えてくれって、契約相手に言われた」って言うお客さんが居たんです。

 そんなわけで当店では、男性の方は世帯主として色んな契約をするし、名前が変わることも無いだろうということで、実印はフルネームにする事を強く勧めてます。もう一度言いますが、高いモンを買わせるためやありませんで! 女性には「苗字だけ・名前だけでもいいと思いますよ」って言うてますからね!

実印の登録基準が、銀行印より厳しい理由

はんこを使う「相手」のクイズ わかります? 昨日は、銀行印に出来る基準が総じて実印のそれよりも緩いって話をしましたが、今回は「ほな、何で緩いんや? 何で実印の方が登録が厳しいんやろ?」って話をします。
  
 この理由は、実印と銀行印の根本的な違いからきてます。
 「違いって言うても、役所で登録するんが『実印』。銀行に登録するんが『銀行印』やろ?」って思いますよね? それは確かにそうなんですが、根本的な違いが他にもあるんですわ。

 それは何か? と言うと、実印は登録する場所と使う相手が異なるって事。印鑑登録は役所で行うけど、役所に対して使うモンではないって事ですわ。

 役所は、あくまで日本国内での契約を円満にサポートするために印鑑の登録をしてるんです。実際に実印を使う相手は契約相手で、役所とは全く別の人(上の画像でいうと「実印」を使う相手は「その他」ですな)。
 それやのに「名前と関係ない文字でもいい」みたいな基準にすると、色んなトコから「何でそんなややこしい事するん??」と文句を言われるわけです。だから、極力無難に、極力無難な基準を採用してます。

 その一方で、銀行印はその銀行本体と相手の個人や法人との間だけの取り決めごとに使うもの。横から口を挟まれることが無いんで、実印に比べると基準が緩いんですわ。

自筆看板「エアコンつけました」

看板「寒さに負けてエアコン付け始めました」 先日、「寒くてもエアコンつけずに節電中」って看板を書いたばっかりなんですが…

 店主(父)が風邪気味になったので、エアコンをつけるようになりました。

 で、看板もこのように書き換えることになりました(汗)

 直ぐに看板を変えた事になったんですが、はんこ屋の前を通って気づいている人いるんかいな?(汗)

くだらんチラシ 「呪いのゴミにうち勝て!」

かしばら通信 平成24年12月号

 既にfacebookページのほうでは公開してますが、手書きのくだらないチラシを作成し、近隣に5000部強ポスティングしてます。
 はんこなんて普段はあまり必要ないし、店があっても興味の無い事が多いんですが、こんなくだらなすぎるチラシを配るうちに、そこそこ見てくれている人はいるようです。

 今月も配布中に「楽しみに見てますよ」「えっ、あのはんこ屋さんですか?」って声かけられました。
 こういうのは正直嬉しいですね。

 ちなみに今月の話は過去のチラシと比べても1、2を争うくだらなさですね(苦笑)

 過去作品もいずれこのサイトで紹介して行こうと思います。

「印鑑登録制度」の弊害

「印鑑登録制度」にはメチャお世話になりましたが、弊害もあると思うんです印鑑登録に既成認印の使用は許せない? 別にいーじゃん」って話を先日したんですが、僕はそう思ってる理由には、現在の既成認印の製作システムが意外と優れているって言うこと以外に、もう一つあります。

それは、「印鑑登録制度」に弊害があると思ってることと関連してるんです。
どうも同業のはんこ屋さんは

  • 既成認印を実印にするなんてとんでもない!
  • 印鑑登録制度は守らないとダメだ!

ってな感じで、第三者からすれば自分の利権を守りたいだけにしか見えない主張をしとります。

あ、いや、はんこ制度は前にもいったとおり利便性はあるし、僕自身「この世に不要なモノ」やとは一切思ってません。そして何より、印鑑登録制度によってはんこ業界の需要が大きくなり、職人である父は飯が食えるようになったんで、それは感謝しとります

ほやけど、その「印鑑登録制度」で、日本人にはんこの使用を強制したせいで、「嫌でも買わないといけないモノ」になって、価格破壊・はんこの価値の低下が起きてるんやと思ってます。

正直、はんこを「安い方が良い」「既成認印で済ませたい」って思う消費者が出てくるんは、印鑑登録制度によるはんこの強制のために生まれた自業自得ですわ。で、これに対して何とか創意工夫を…って言うなら分かるんですが、制度をキツクして守ってもらうって発想は筋違いやと思うんです。

 むしろ僕は、実印を年収1000万以上の人しか使えないっていう風に変えてしもうたらどうかな… と思ってます。 そないしたらはんこが「成功者のステータス」になって価値が上がるんで。
 需要は格段に減りますが、その需要低下で、機械で彫刻する必要が無くなって、手彫り中心になったら偽造問題もなくなり、ちゃんとした手彫り職人に適正な報酬が渡るようになる、と思うんやけどねぇ…

現在の印鑑登録制度って、意外と効率的なんやで

効率的って思う理由は、この機械にあります 多くのはんこ屋がもってますねん えっとですね、前回「印鑑登録に既成認印の使用を禁止せんでもエエやん」って内容を書きました。そう思う理由の一つに、上にあるはんこ彫刻機があります。
 こいつの名前は「BanBan(バンバン)」。文字コードを入力するだけで、センターから印影データが送信されて、自動的に認印を彫ってくれる機械ですわ。
 で、この機械、印影は職人に言わせればメチャメチャ下手な字で、それが嫌なはんこ屋は置いてません。でも、月数千円のリース費用と、ちょっとした通信費だけで使える上に、10分ではんこが彫れるっていう特徴があります。彫れない文字は少ない(これまで2文字程度しかありませんでした)し、珍しい苗字の認印を簡単に彫れるんで、かなりのはんこ屋で置かれてるんですわ

 で、一番言いたいことなんですが、これ。
彫刻機「BanBan」で彫った日本の認印
 「稙田」っていう二つの認印。二つともこの機械で彫ったんですが、白丸のところを見てください。微妙ですが違うでしょ?
 実はこの機械、毎回、ほんの少しだけデザインを変えて彫るようになってるんです(連続で彫った場合は前のデータが残ってるんで同じ印影になりますけどね)

 なんで、こんな安い機械で彫った、こんな安いはんこでも「唯一無二」のはんこになり易いんですよ。
 はっきり言って字は汚いし、安いはんこだから仕上げもしてないので縁も欠けやすい(理由はこちら)。実印に相応しいはんことは絶対言えないんですが、それでも唯一無二で印鑑登録できたら最低限の用は足せます(あまりにも安っぽいんで契約相手に白い目で見られると思いますが…)

 重要な契約を、たった数百円のはんこを買うだけで安全に契約できるのって、ほんま凄いと思うんですよ。ほやから、今の印鑑登録制度は、デフレまっさなかの世の中の消費者にとっても悪くは無いって思うてるんです。

 あ。何度も言いますけど、こんな安いはんこでの印鑑登録、禁止にしなくてもいいとは思ってますが他人には絶対勧めません。縁が欠けやすいし、安いはんこはありがたみが無いんで、次に使うときまでに紛失しやすくなります。何より、自分の「証」としてみすぼらし過ぎますからね。

既成認印の印鑑登録は是か非か

既成認印を実印にしたらアカンって言うけど、別にええんとちやうの? 前回、印鑑登録の基準について「既成認印は正式NGと言う表記は無くても、担当者によっては登録できない」って事を書きました。
 で、そういうことを書くと、同業のはんこ屋さんが、「そもそも既成の認印で印鑑登録できるのがオカシイんや!!」って怒って言うたりするんです。

 でも、実は僕は正直言うて「別にエエんちゃう?」と思うてます。だって、大切な自分の「証」を、量産品で登録するのは自分で判断したんですからね。
 やっすい認印を重要な契約書に捺して、「みすぼらしいなぁ」って思われたり、ちょっとした衝撃で欠けてしまったり、安物だからと直ぐに紛失して困ったりするのも、自己責任やないですか
 「俺は非難されようが後ろ指差されようが、安い認印を実印代わりにするんや!」っていう覚悟を持ってるんやったら、どうぞ好きにして下さい… って思ってるんですわ。

 ってなわけで、自己責任(というか、リスクを承知)で安いはんこを大事なはんことして使うのは、個人的には別にかまわんと言うか、禁止までする必要はないって思ってるし、強制させるのは筋違いやと思ってます。
 ま、そう考える理由は他にもあって、これは明日書こうと思います。

[看板]2012年11月17日の自筆看板

いばらきバルフェスタ2012 告知看板 はんこ屋とは全然関係ないんですが、近くで飲食店を運営している雁飯店さんとその友人らが企画したバルフェスタいばらき2012の告知看板を出してました。

 本来なら昨日の金曜でチケットの予約販売が終了し、今日は別の看板に差し替えるつもりだったんですが、昨晩にチケットの販売期間延長が決まったんで、「販売延長」って手書きで入れ、もう少しこのままにしておこうと思います。

 

[看板]2012年11月16日の自筆看板

多分今_メチャ見頃やで_紅葉の くだらないはんこ屋の看板シリーズです。
 絵は朱色の筆ペンと赤の油性マジックで書きました

 五七五調で季語も入ってるんで、俳句になってしまいましたね

 でもホンマに今はきれいやと思いますよ。
 この週末、時間のある方は紅葉を見に行ってくださいね!

はんこの文字の「ルール」ってどうなってんの?

はんこ登録の「ルールブック」みたいなもん…かな 昨日の記事で「文字にも色々あるんやで。学校で習った文字のルールが全てちゃうよ。」って話をしました。文字の種類によってルールが違うから、自分の知ってる文字と違う文字を見て「おかしい!」っていうたらアカンよって話ですな。

 で、勘のいい方は「って言う事は、はんこの字はそれ独特の『ルール』があるって事かな?」と思ったかもしれません。それは一応正解です。

 はんこの場合、全日本印章業組合業界が発行している「辞書」があり、これがルールとなっています。
 この辞書が各地方自治体に配られ、印鑑登録の際の参考資料となるので、「この辞書に載っていたら間違いではないのでセーフ」って言えるんです。

 ただ、辞書に載ってない字だとNGか? というと、そうとは限りません。そうなった場合は、基本的に役所の担当者の一存で決まるんでしょうが、判断に困った担当者が、はんこ屋に質問してくる場合があります。

 当店も過去に何度か、担当者が訪ねてきました。
 役所の方が尋ねてきて「この字なんですけど…合ってますか?」と印影を見せてくれた事がありました。その時は、店主は印影を見て一言「あぁ、実用印ではあんまり使わんけど、篆刻なら使いますね。間違いでは無いですよ」と答えました。実際、篆刻用の辞書を調べてみたら、しっかりとその字が載ってたのを覚えています。

 こういったケースになると、印鑑登録担当者が知識のあるはんこ屋とめぐり合えるか…という「運」の要素も絡んでくるので、やはり実用印は配られた辞書に載っている字で彫るのが無難なんでしょうね。

 あと、それぞれの自治体などに適応される独自ルール(ローカルルール?)もあります。それについては明日またお話しますね。

はんこの文字が「変」って思う人に共通する、大きな誤解

「賀正」って字やけど これ見て何か気づきました? 11月も中旬。年賀状シーズンってことで、こんな字を出してみました。

 さて、上の画像の「賀正」の文字。何か気づきましたか? 良く見ると「正」の字の書き順が違うんですよねこのページにある「正」の字の書き順をみると、違うのが分かると思います。

 これに気づいた貴方。もし、「これ間違ってるやん!」って思ったんやったら、それこそが、タイトルにある共通した「大きな誤解」なんですわ。機会が合ったら色んな年賀状を見てください「正」の字がこの書き順になってるやつ。結構あるんでっせ。

 学校で習った文字ってのは、絶対やない

 絶対やと勘違いしてる人がホント多いと思います。確かに学校では、一般的な文字についてちゃんと書ける様に厳しく指導されます。でも。それと異なる字が許されない存在かというと、そうではないんですわ。

 申請書などの書類を書くとき、用紙の端っこや記入見本に「楷書(かいしょ)で丁寧に書いてください」って書いてるのを見たこと無いですか?実はこの「楷書」ってのが、学校で習った字という意味になるんですわな。要は、学校で習ったのは「楷書」と言う字の常識なんであって、日本の全ての文字の常識ではないって事です。
 「楷書で書いてください」って注釈が入ってるのも、学校で習った字(=楷書)だけが文字の全てではないって事の証拠ともいえます。画像の「賀正」の字も楷書ではないんで、書き順が普通と違っても間違いや無いんです。大体「楷書」って言う字一つとっても、硬筆(鉛筆やボールペン)と毛筆でも書き方が違いますしねぇ。

 はんこの文字って、確かに学校で習う文字とはえらい違いがありますけど、でも「普通と違う字」ってのは意外と色々あるんやでってのは、覚えておいていただけると嬉しいです!

「はんこ」って、何で字が難しいの?

読みにくいよりも読みやすい方がエエに決まってるやん! たま~に、お客さんに聞かれるんですわ。
 「何ではんこって、読みにくい字なんですか?」って。

 大抵、こういうようなことを言われる方は、はんこが現在の読みやすい字でないことに納得がいってない方。「読みやすい方が便利で良いのに、何でこんな読みにくいのが一般的になってるんかが分からん!」って思ってるようです。

 でもね、よう考えてみてください。日本人って、英語が苦手なくせに、日本語のTシャツより英語のTシャツ来てる人のほうが多いですよね。逆に、外国人は漢字のTシャツを喜んで着たりしますよね。

 僕の予想なんですが、人間はあまり意味が理解できない言語に対する憧れみたいなものがあると思ってるんです。だから、日本人には英語が、外国人には漢字が「風格のある言葉」に見える。と言うわけです。

 そんなわけで、はんこも「すぐに読める字」より「少し読みにくい字」の方が格上に見えるんやと思います。もちろん、仕事や宅配便、回覧板とかで使うはんこは読みやすくてナンボですが、実印や銀行印は自分の大切な物に関する「証」になるもんであり、読みやすさよりは「風格」を重視した方がええ、って事やと思って下さいな!

銀行印不要で出来る銀行口座の「落とし穴」

優良ショップがお客さんにクレームを受ける… その理由が「銀行印」にあった? 「お客さんから、『クレジットカードで二重請求された!』って言われて怒られたけど、身に覚えがない…

 これ、5年ほど前に、とあるネットショップさんから聞いた話やったんです。じつはこの原因の一つに「銀行印」があったんですわ。

 このショップ運営の方。別にやましいことはなんもしてませんでした。逆に、2回に分けて商品を購入した人に「一括で買えば割引になるから、その価格に変更してあげよう」と、良心的に対応してたんですわ。

 ほな、何でこんな事になったんか? 実はお客さんのクレジットカードがデビットカードやったんです。
 クレジットカードは一般的に、決済(商品購入)して一月ほどしてから引き落とされます。しかしデビットカードは決済直後に引き落とし。そのため、「商品購入直後」に一度引き落とされ、さらにその後。ショップさんが割引した「新たな金額を設定した直後」に引き落とされたんですわ。
 ショップさんからすれば、引き落としは後日だろうから、金額修正で問題ないと思ってたのが、二重の引き落としになってしまったって訳です

 「ショップさんがデビットカードって分かってたら、対応できるやん!」ってお思いかもしれませんが、無理なんですわ。だって16桁のカード番号など、形式はクレジットカードと全く一緒。要は普通のクレジットカードと見せかけてる(言葉が悪くて関係者には申し訳無いですが)んで、区別のしようが無いんですわ。

 …で、長くなりましたが、ココからが本題。
 実はこのデビットカード、銀行印不要の銀行口座で作られるヤツなんです。

 前回、銀行印は口座の開設の時ぐらいしか使わんって書きましたが、実はもう一つありました。それがクレジットカードなどの自動引き落としの申請書類を出す時

 そ、カード会社などが「後になってお金を勝手に引き落とすけど、それを認めるよね?」っていう契約をする時に、銀行印が絶対必要になるんです。
 ネットバンクなどの「銀行印の無い口座」はそれが出来ないんで、決済直後に引き落とすデビットカードを発行してるって訳ですわ。

 少なくとも日本では「後払い」が前提のクレジットカード。ほやのに、「その場で支払い」のデビットカードが紛れ込む事で、たまにこういった変な現象が起きてしまうんですな。「銀行印不要」が、意外なところで影響を及ぼす一例として、覚えておいて下さいな!

[看板]はんこ屋の手書き看板 2012年11月 第二週(2)

食べ歩きチケット 当店で発売中です 今月下旬に開催されるバルフェスタいばらき2012の告知を看板でやりました。
 はんこだと買う機会が無いのでなかなかご来店いただく機会が無いんですが、こういう食べ物関係は気軽に着ていただけるんで嬉しいですね。

 ちなみに、指が中指立ててるように見えますけど、人差し指ですからね!
 

「銀行印」がなくならない理由

銀行印も不要って? いやちょっと話をきいてぇな 今の銀行って、暗証番号だけや無く、指紋や手のひら静脈認証とかで、セキュリティはかなり上がってますよね。

 で、昨日と同じ「はんこ不要論」ですわ。
 「もう、銀行印なんて無くてええやん」って話。

 今、銀行印が無くても口座が開ける銀行もいくつかありますが、ほとんどが銀行印を必要とします。ほやけど、これは別に今までの習慣を破るのが嫌とかそういうのや無くて、銀行印が必要である理由がちゃんとあるんですわ。

 ところで、銀行印って、何のためにあると思います? お金の引き落としにはATMと暗証番号があれば出来るし、口座を作るとき以外はあまり使うイメージがありませんよね。

 そ。実はその「口座の開設」と「口座の閉鎖」っていう、銀行にとって最も重要なこの二つの行為は、確実な本人の同意を残しておきたいっていう、銀行側の思惑があるんですわ。それが大きな理由。

 と、ある人から聞いたことがあります。

 ……え?
 「銀行印不要で口座開設できる銀行があるんやから、それは理由にならんやろ!」って?

 そうですねぇ。実は僕もそう思うてたんですわ…

 で、実はもう一つ重要な理由があったんです。っていうかこっちの方が利用者としては大きな理由になりますね。

 で、それは…

 すんません!! こっから先は長くなるんで…
 次回、週明けにまたお話さしていただきます!!

「はんこはもう古い」って思ってる人はちょっとそこ座れ

「もうサインでええやんか」って言われますが 意外とはんこって便利なんでっせ いますよね、特に若い人に。「はんこ不要論」を持ってる人。

 いや、気持ちはわかります。今はデジタル全盛の時代。コンピューターの性能が上がったことではんこの偽造も可能なレベルになってきました。偽造については深刻な問題ですし、「古い」と感じることまでには否定しません。

 ほやけど、それでも言わせて欲しいんですわ「ちょっと待って!」って

 実ははんこの制度って、欧米のサインと比べたら結構シンプルなんです。
自分のはんこが捺印されてたら、それは自分が認めたった証拠。
はんこの真贋を見極めるのは偽造問題によって難しくはなりましたが、それでもサインほどじゃありません

 「サインは筆跡鑑定で見分けつくだろ!」って思われるかもしれませんが、確実に見分けるのって実は結構面倒なんです

 その証拠に、欧米では、重要な契約を行うその時に、両者が複数の弁護士を連れてくるほどなんです。
 弁護士なしに重要な契約が行えるのは、はんこ制度があるから、といってもいいんですわ。

「はんこ職人」の見極め方、まとめ

はんこが必要な人 はんこ屋を探している人は、まずこのページをチェックしなはれ! 先日より、「手彫り」ではんこを選ぶな! はんこ屋の「印影」で良い店かどうか判断しいや! と訴えてきた私ですが、その方法を一通り話し終えたんで、とりあえずはまとめとして掲載しておきたいと思います


・そもそも、なんで「印影」で判断する必要があるのか?

「手彫り」や「開運」ってのは、分かりやすいようで、実は確実な判断基準にはなりません。「手彫り」「開運」含めて、肩書というものは、わかりやすく「良いもの」だと判別できるようで、売り手にとって「(売るのに都合の)良いもの」にもなりえるのです。
特に「手彫り」は「機械不使用」と言う意味ではないんで、人によっては「騙された!」って思うでしょう。
騙されないように判断するには、一見分かりにくいけど本質である、作品そのもの、つまり「印影」で判断するのが一番なんです。職人が彫った結果、生まれるものが「印影」ですからね。


・本当に「素人」が印影で見分けつくんか?

条件次第で、見分けることは可能です。印影には見分けのつきやすいものと、そうでないものがあります。ですから、はんこを買おうかなと思ってる候補の店の中から、見分けのつきやすい印影を見て見極めることで、その店が買うに値するかどうかわかります。
印影見本が多くある店が最低条件になります。


・まずは「印面の『縁』」を確認する

「印影で見分けろ」って言いながらなんですが、まず最初に見るべきなのは、捺印した「印影」ではなく、はんこに彫られた「印面」になります。
縁の加工が出来ているはんこ  「印面の縁」を見て、はんこ屋として最低限の仕事をやってるかどうかは、はんこの「印面の縁」を見れば分かります。右の写真のように、印面の縁にある「墨で色づけされた部分」の外側に、うっすらと印材の色が見えたら、最低限の仕上げをしている店ってのが分かります。これをしてるかどうかではんこの欠けにくさが段違いになるんです。詳しくはこちらを見てくださいな。


・「篆書(てんしょ)」と言う文字の「先端」をチェックする

篆書のはんこの「筆意」の有無 右の画像のほうのように、「篆書」って言う文字の先端は独特の形状をしてます。篆書の実印の印影をもつけて、こういったものがちゃんと出来てるかどうかチェックしてください。素人との違いなど詳しくはこちら。あと、この違いが実は大きな違いだってことも説明してますんで、良かったら見てくださいな。


・「縦長の字」を、縦に圧縮加工してみる

「泰保」の印面 → 「泰保」の印面を縦に圧縮したもの
個人のはんこの中には、画像のように文字を「横並び」にしたやつがあります。当然ながらそういったはんこの文字は縦長です。この画像を縦にぐしゃっと圧縮してみてください。文字の特に上半分があからさまに窮屈に見えたら、それはデザインが優れている証拠です。その理由はこちらを見て下さい


・リスクを承知で「篆書古印(てんしょこいん)で彫って」と言ってみるべし

左:篆書体の「野田」 右:篆書古印の「野田」 「篆書古印」なんて言葉、ネットで検索してもあまり出てきません。こんな言葉を言い放って、さらっと「分かりました」と言える職人は熟練と言っていいでしょう。ただし、相手が受けてしまったら後戻りは許せません。手間のかかる彫刻なんで高額の支払いは覚悟してくださいね!
篆書古印について詳しくはこちらに記載してますので、ぜひお読みください。

こんな変わった「はんこの注文」を、さらっと「できますよ」って言う職人は信頼していい

「○○」ではんこ作って って頼むと、「こいつ・・・出来る・・・!」って店員は思いますよ! はんこは「手彫り」かどうかで判断したらアカン! はんこ屋の「印影見本」で良い店かどうか判断しなはれ

 …と言うわけで紹介してきた「はんこ屋(職人)を見分ける方法」なんですが、本日お話しするので一旦終了とさしてもらいます。その代わり、今日の話は色んな意味で強烈です。なんせその道に詳しい職人しか知らない言葉の入ったセリフを言って、その反応を見るってやつですから、その店の「専門性」が一発で分かります。

 そのセリフとは、「篆書古印(てんしょこいん)ではんこをつくれますか?」
 この「篆書古印」って言葉、googleで検索してもほとんど出てきません。大半が「篆書」と「古印体」の説明に関するページになってます。
 はっきり言ってはんこ屋の8割が「何それ?」って反応やと思います。で、残り2割のうち半分以上が「知ってるけどそんなの彫れない」って答えるでしょうね。

左:篆書体の「野田」 右:篆書古印の「野田」 ちなみに、うちの店主がデザインした「篆書古印」が、上の右の印影です(左は普通の「篆書」の印影ですね)。はんこでよくある文字の「篆書」に、これまたはんこでよくある「古印体」独特の凹凸をつけたものなんですが、どうやって凹凸をつけるか、経験の無い人には難しいし、そもそも一から文字を作った事の無い素人には無理ですわな。

 …ってなわけで、はんこを見分ける方法として最強とも思えるんですが、欠点があります。だってほら…ねぇ、そこまで専門用語を強気で言いはなってるのに、「作れますよ」って答えられて「いやいらない。聞いただけ」なんていえないでしょ…
 この方を勧めた僕が睨まれても困るんで、この方法を試すつもりなら、はんこを買うつもりで挑んでくださいよ! もちろん特殊なはんこなんで、普通の倍の値段はすると思ってください。それぐらい、このはんこには価値がありますからね!

本当の「はんこ職人」かどうかは、「縦長の字」を見れば分かる

「泰保」って名前のはんこ。この縦長の字のはんこを少し工夫すれば、良し悪しが直ぐに分かります 前回のはんこ職人を見分けるポイントが良く分かった人も、そうでない人も、今日のやり方は必見です。この方法ははんこ業界では常識なんですが、素人でも分かるよう工夫した方法はまだどこにも公開されて無いと思います。

 その方法は「縦長の字を見る」です。
 上の二つのはんこ(写真ははんこ本体ですが、印影でもOK)ですが、昨日と同じく篆書(てんしょ)と言う文字。でも昨日とは違い、文字が縦長になってますわね。

 このふたつ、どっちが良いか直ぐに見分けられる人は少ないと思います。これをちょっと加工する事で、直ぐに判別できる方法をお教えしましょう。それは、こうするんですわ。


「泰保」の印面を縦に圧縮したもの

 そ、縦長のはんこ(印影)を、立てにギュギュ~っと圧縮して、逆に横長の字にするんです。
 わかりますかね? 分からない人は圧縮した画像をクリックしてください。黒い印面の「泰」って言う字の上半分が、えらい窮屈になってますよね?

 「あ! なるほど! ほな黒い方がアカンねや!」…と思った貴方! 残念!! まるっきり逆です!
 要は、縦長前提の文字を無理やり横長にするとデザインが破綻するって言う事。つまり、縦長の字のはずなのに、無理やり横長にしてもあまり破綻してない朱色の印面は、正方形の文字を単純に横長にしただけの手抜きデザインってのが分かるんです。

 で、その説明が終わったところで、もう一度、圧縮前の字を見てください。赤い印面はただ縦に間延びしただけって感じしません? それに対して黒い印面は、字の下半分が伸びやかに見えて、いわゆる「足長」の美しい文字なのが何となく分かると思います。これを専門用語で「(文字の)重心が高い」って言うんです。

 ちなみに、縦長の文字は「篆書」もしくは「印相体」ってやつで見てください。たまに認印なんかで良く見られる「古印体」ってヤツで縦長の文字見本がありますが、あの字は平べったいからこそ味があるんで、比較にはお勧めできません。

 はい、ここまで来れば、はっきり言って「はんこを見極める力量」はかなり上がってますんで、是非、いろんなはんこ屋の作品を見比べてくださいね!

はんこの「文字デザイン」は、手彫り経験の有無で大きく変わる

この二つ 大した違いがないように見えますが、実はメチャクチャでかい違いがありますねん これまで僕は散々「手彫りと言っても機械を使ってる」「手彫りと機械彫りには大した違いは無い」と言いました。

 が、「手彫りの経験が全く不要」とは言ってません
 手彫りの経験は絶対必要です。なぜなら、手彫りを経験する事によって、文字の概念が大きく変わるからなんですわ。

 実は前回お話した「文字の先端を見て職人のレベルを見極める」話が、この「手彫り」経験と大きく関係してるんです。この二つは全く違う概念でデザインされとります。

手彫り経験の有無が生む、印影デザインの大きな違い その証拠が上の画像ですわ。
素人さんははんこの文字をデザインする際に、線でデザインして、その線を太らせる(コンピューターで自動で出来ます)方法をとります。この方法だと、文字の先端は丸まってしまうだけ。

 手彫りを経験した職人は違うんですわ。師匠が書いた字を彫る際に、画像の黄色い部分を彫るんです。これによって文字は線でなく面積だという認識が出来るんです。だから前回言った篆書の筆意という、絶妙な表現をする事が出来るんです。

 この表現は、篆書の「文字の先端」が一番分かりやすいのですが、他の文字でもいろんな表現の幅を生み出す事になります。だからこそ、お勧めしたい「職人を見分けるポイント」なんですわ。

はんこ職人のレベルは、印影の「ココ」を見れば分かる

上と下、どっちがエエかなんて分かりにくいですよね でも実はあるところを拡大してみれば直ぐに分かるんです 昨日ははんこの縁で素人か良心的なはんこ屋か見分ける方法を伝授しましたが、これはほんの序の口。昨日は出来ていて当たり前の項目です。まともな手彫り経験を積んでない人でもやる加工ですからね。
 本日は少しレベルの高い話をしますわ。

 まず、大前提なんですが、職人がこれまで彫った作品の見本(印影)が必要になります。基本的に今後の職人の見分け方には、その職人が作った「印影」が必要なんです。何度も前から言うてますように、印影こそがはんこ職人を見極める結果ですからね。

 で、見分け方ですが、画像の通り。
 まずは職人の印影見本の中で「篆書(てんしょ)」ってやつを探して下さい。出来れば実印の見本がいいですね。
篆書のはんこの「筆意」の有無 その印影の中で、文字の先端となる部分を見て、右下のように丸ゴシックのように丸くなっていたらダメと言わざるを得ません。職人であれば右上のように文字の先端が独特の形状をしてるんですわ。
 
 これ、専門用語で「筆意」って言うんですが、「篆書はこういうもんだ」って考えでかまいません。とにかく、はんこ職人にとってこの表現は当然なので、出来ているかをチェックすると、ちゃんとした職人が彫っているのかどうか分かりますよ。

 え? 「今は文字の先端が縁にひっつける開運の字体が主流だし、この見分け方は意味が無い」って?
 そんな事無いですよ。その理由は明日お話しましょう。

こんな「はんこ」は実印・銀行印にしたらアカン

はんこのメチャメチャ最初の見分けポイントは、印面の「縁」の部分! 矢印のところを良く見てや! はい皆さん注目! あ 特にはんこは安くてもいいって人! これを見ないと多分後悔しまっせ! はんこの最低限の質はココで決まります。

 実印や銀行印って、いくら安くても欠けてしもうたら意味無いですよね。で、はんこって一番欠けやすいんは「縁」の部分。
 大抵の方は、はんこの縁の欠けやすさははんこの素材で決まるって思ってるんですが、違います! むしろ「彫刻」が欠けにくさを決めるんです。


はんこの「縁」の断面図 上の画像を見たら分かりますよね。同じ材質でも縁が太い方が欠けにくいって事です。だから「a」のはんこではなく「c」のように縁を仕上げしてるはんこを選んでください。

 

縁の太さが一定じゃないはんこ
 ちなみに「b」のはんこはダメなの? って思うかもしれませんが、「c」のように最低限の一手間をかけないってのは、はっきり言って手抜き! そういったはんこ屋は右の写真の方に部分的に縁が細いはんこを出してくる可能性があるので注意してくださいね!

縁の加工が出来ているはんこ ちゃんと縁の仕上げをしてるかどうかは、はんこ本体の印面を見れば直ぐに分かります、写真のように、縁の周りの更に外側に「はんこの材料の色」が見えたら大丈夫です!
 

はんこの「機械彫刻」って、職人と素人じゃ全然違うねんで!

同じ「はんこの機械彫刻」でも、自分で字を作る職人と 良く分からずに手元にある字を使う素人やと、出来が全然違いますねん
 昨日、はんこの完全手彫りと職人の機械彫刻はクオリティがそんなに変わらんで、って話をしましたが、今日は同じはんこの機械彫刻でも、素人と職人ではどれだけ違うかってのをお話しますわ。

 と言うわけで、上の画像を見て欲しいんですが… これだけじゃ分かりにくいかもしれませんね…
 肝心なのは最初の「字入れ(印影のデザイン)」のところ、実は素人は彫刻機に入ってる文字(フォント)をそのまま並べて、あまり加工しません。そんなわけで、当然同じフォントを使ってれば、全然違う店でも似た文字になりやすいし、そういった文字は素人が作った文字なんで少し知ってる人が見れば「あ、これはアカンな」ってのがすぐ分かるんです。

 で、素人は仕上げも最小限。良心的な店は多少仕上げはします(それでも、しないよりは遥かにいい事なんですけどね)が、仕上げしない場合もあるほどです。
 当店店主も、粗彫りの機械彫刻でかなり綺麗に彫るんで粗彫りは最小限なんですが、全くしないって事はありません。職人のプライドがあるんで、細かいところをしっかりと仕上げしてます

 って言うわけで…
 同じ機械彫りでも、職人が作ったはんこと、素人が作ったはんこでは、見る人が見れば天と地ほどの違いがあるんですわ。

 と言うても、「その違いがワシには分からんわ!!」ってお思いかもしれません

 OK! わかりました!
 次回以降は、その「違い」を見分けるためのわかりやすい方法をお教えいたしましょうや無いですか!!!!!
 明日以降は必ずチェックしてくださいね!!