本当の「はんこ職人」かどうかは、「縦長の字」を見れば分かる

「泰保」って名前のはんこ。この縦長の字のはんこを少し工夫すれば、良し悪しが直ぐに分かります 前回のはんこ職人を見分けるポイントが良く分かった人も、そうでない人も、今日のやり方は必見です。この方法ははんこ業界では常識なんですが、素人でも分かるよう工夫した方法はまだどこにも公開されて無いと思います。

 その方法は「縦長の字を見る」です。
 上の二つのはんこ(写真ははんこ本体ですが、印影でもOK)ですが、昨日と同じく篆書(てんしょ)と言う文字。でも昨日とは違い、文字が縦長になってますわね。

 このふたつ、どっちが良いか直ぐに見分けられる人は少ないと思います。これをちょっと加工する事で、直ぐに判別できる方法をお教えしましょう。それは、こうするんですわ。


「泰保」の印面を縦に圧縮したもの

 そ、縦長のはんこ(印影)を、立てにギュギュ~っと圧縮して、逆に横長の字にするんです。
 わかりますかね? 分からない人は圧縮した画像をクリックしてください。黒い印面の「泰」って言う字の上半分が、えらい窮屈になってますよね?

 「あ! なるほど! ほな黒い方がアカンねや!」…と思った貴方! 残念!! まるっきり逆です!
 要は、縦長前提の文字を無理やり横長にするとデザインが破綻するって言う事。つまり、縦長の字のはずなのに、無理やり横長にしてもあまり破綻してない朱色の印面は、正方形の文字を単純に横長にしただけの手抜きデザインってのが分かるんです。

 で、その説明が終わったところで、もう一度、圧縮前の字を見てください。赤い印面はただ縦に間延びしただけって感じしません? それに対して黒い印面は、字の下半分が伸びやかに見えて、いわゆる「足長」の美しい文字なのが何となく分かると思います。これを専門用語で「(文字の)重心が高い」って言うんです。

 ちなみに、縦長の文字は「篆書」もしくは「印相体」ってやつで見てください。たまに認印なんかで良く見られる「古印体」ってヤツで縦長の文字見本がありますが、あの字は平べったいからこそ味があるんで、比較にはお勧めできません。

 はい、ここまで来れば、はっきり言って「はんこを見極める力量」はかなり上がってますんで、是非、いろんなはんこ屋の作品を見比べてくださいね!