はんこの素材「象牙・牛の角」は「芯(中心)」に近いほうが丈夫って、ホンマ?

象牙って、中心に近いほどモノはええんやけど… 知らない人は「何それ?」って感じかもしれませんが…

 象牙や牛の角って、中心に近いほど密度が高くて硬いって言う性質があります。
 これは事実です。現に、上にある画像のように、象牙は中心の「芯」に近いほど、グレードが上がって丈夫、そして高価になります。

 ただ、それを聞いて、象牙や牛の角の中心にある「芯」が最も硬い部分であるって誤解してる人がいはるんですわ。

 実は、象牙も牛の角も、中心の「芯」は逆に柔らかい性質を持っとります。簡単に言うと「台風」と同じで、中心に近ければ近いほど強いけど、中心そのものはメチャクチャ弱いんです。

 それともう一つ。牛の角は芯(中心)より離れすぎると使い物にならないんで、芯入りのモノがはんこの素材になってます。でも、象牙は芯が無くても全然問題ないんで、芯から外れた廻りの部分がたくさん使われます。

 つまり、象牙の芯の部分は取れる場所が少なくて貴重(つまり高価)なんですが、その芯の部分は柔らかくて彫刻には向いてないという、コストパフォーマンスの悪い素材なんです。

 ってなわけで、当店をはじめとした職人系の店は大抵、象牙の芯持ちは「彫れって言われたら彫るけど、高いだけでモノは悪いから自分から勧めない」って言う方針をとっています。

 象牙の芯持ちをこれ見よがしに販売してる店は、確率的に「高級な物を売って儲けたい」店である可能性が高いと思いますね。