石のように硬くて脆くない、天然木製品として加工に最適な素材。
朱肉の油の浸透で脆くなるのが欠点です。
一般的に「薩摩柘植」と呼ばれる、国産の柘植(つげ)という木から作られる印材です。
「柘」という名からもわかる通り、石のように硬く、天然木材の中では非常に印材として優れています。
「柘植」の中にも様々な種類があり、中には軽くて非常にもろい性質のものもありますが、当店では高い品質である国産の薩摩柘植を印材として用いております。
はんこに用いられる木材としては、柘の他に黒檀(こくたん)や、杉などを圧縮加工して強化したものがありますが、いずれも柘より固いものの、脆さがあって総合的な加工特性は天然の柘植の方が上だと思っています。
当店の柘は表面にニス加工を施しているため、光沢があり、また印材表面の汚れに強くなっております。
※象牙や水牛と比較すると硬さには劣ると言われますが、もろさのあるプラスチックよりは印材に適しており、適切な手仕上げを施せば悪い落とし方をしない限り、欠けたりはしません。
ただし、木の組織が朱肉の油に弱く、頻繁に印面付近が朱肉と接すると油が組織に浸透して脆くなると言われております。
過去に、柘の角印で文字部分ががボロボロに欠けたはんこを見たことがあります。おそらく、印肉(昔良く見られた粘土状の朱肉)をはんこの溝に詰めたままの状態で長期間保存し、柘が脆くなったところにブラシ等で強くこすったのではないかと思います。
どのはんこにも言えることですが、柘の場合は特に朱肉に強く押し付けないようにして下さい。
「強く押し付けたらダメ」って、じゃあどうやって朱肉をつけたら良いの?
その他の印材
その他の印材には、チタン・宝石印・プラスチックなどがあります。
- チタン
- 軽くて丈夫な反面、高価であると言う特性から、最先端技術関連で用いられる事の多い素材です。純度の高い純チタンと、硬度を高めたチタン合金があり、耐久性が高いといわれていますが、「絶対欠けない」と言うわけではありません。
彫刻には、印面に専用のオイルを浸して、特殊な針で彫る方法と、サンドブラストと言う細かい砂をたたきつけて彫る方法があります。当店では現在のところその様な彫刻体制を整えてない事もあり、商品としてラインナップはしておりません。 - 宝石印
- 水晶や翡翠などの硬度の高い素材です。その硬度の高さの一方で脆くもあるといわれています。ガラスは簡単に割れますが決して柔らかくないように、硬さと欠けにくさは必ずしも一致しないので、その点はご注意下さい。
彫刻にはチタンでも紹介したサンドブラストと言う方法で行うのが一般的です。
当サイトでは、彫刻体制がないこと。価格の割に脆い素材である事。そして素材の美しさより印影の美しさを重視したい事から、宝石印は取り扱っておりません。 - プラスチック
- 透明感のあるお洒落な素材として人気のプラスチックですが、その脆さは酷く、一生もののはんことしてはお勧めできません。また、お洒落に見せるために材料が非常に高く、この素材でお洒落を売りにしている店舗は、極力彫刻に手間をかけない傾向があります。
当サイトで印影の大切さをご理解いただけたのであれば、この素材ではおつくりにならないのが賢明です。 - 牛の角(白)・牛の角(色)
- 灰色~薄い茶色の素材で、「オランダ水牛」とも呼ばれます(ただし「オランダ」は原産地や由来を意味せず無関係です)。
黒水牛より高価になりますが、天然独特の色合いをお求めの方や、象牙が予算に合わない方に人気です。しかし色合い1本ごとに微妙に異なり、色むらや斑点が多い欠点があります。
当店では色むらが少なく班点や傷に見える良品の確保が困難となったため、牛の角(白)・牛の角(色)の取り扱いを停止いたしました。ご了承下さい - 宝石印
他のページはこちらからご覧いただけます。
>>職人・野田守拙について
>>当店が「印影」にこだわる理由(トップページ)
>>「本物にふさわしい印章」の条件
>>貴方にも出来る、はんこ職人の「技術の見極め方」
>>7種類もの印章文字の特徴と解説
>>通販規約全文(返品・交換規程など)