貴方も出来る、「印章職人を見極める」方法

野田守拙

店主・野田守拙
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 自分の重要な契約や財産の『証』となる、印影。風格ある美しい印影であるに越したことはないのですが、見慣れない文字だけに「どういうものが美しくて良いのか分からない」と、お困りになっているかもしれません。


ちょっとしたコツで、貴方もはんこを見極める事が可能です

しかし、安心して下さい。「はんこはよく分からない」というのは単なる思い込みに過ぎません。完璧ではありませんが見分ける方法はあります。はんこ屋にある印面や印影の見本から、特定のものをちょっとした視点で見ることで、そのはんこ屋の技術レベルがわかるんです。当サイトではその見分け方を紹介いたします。


はんこを『見極める』方法

1.はんこの印面の「縁の外側」を見る
縁を面取りしたはんこ

 印面の「縁」の外側に、うっすらと材質と同じ色が見えるか、確認してください。

 はんこの印面の写真を探して、その印面の「縁」がどうなっているか見て下さい。
 印面を斜めから見て、矢印部分のように縁の外側が写真の矢印のように削られいるように見えたら、最低限の仕事をしているはんこ屋であると分かります。

はんこの縁の断面図

 上の画像のcのように縁の外側と内側を削ることで、印面に写る縁は細くても実際の縁は太くして欠けにくくなるようにするからです。これが「面取り」と言う仕上げ作業になります。

 これは修行経験のないはんこ屋でも良心的であれば必ずする仕上げです。「a」の状態であれば欠けやすくなってしまい、「b」の状態では、朱肉で捺印した印影の「縁」が太くなってしまい、文字が浮き出て見えずに「悪い印影」である事が見破られてしまうのです。

 下の印影を見て下さい。縁の太い右よりも、細い左の印影が文字が強調されている事が分かると思います。

「吉相」の印影

2.画数の多い文字と少ない文字での「面積の違い」を見る
印影の文字のバランス 画数の多い文字は小さい文字よりも大きくする

 画数の多い漢字と少ない漢字が混じっている作品見本を見て、「一文字ごとの面積」を変えているかどうか、確認してください

 職人は印影をデザインする際、画数の多い文字は面積を大きめに、逆に画数の少ない文字は小さめにします
 文字によって画数がかなり違う印影の見本を探し、その印影に縦と横の中心線を引きましょう。右の画像のように画数によって面積に変化をつけていたら、大丈夫です。
(一般の文字では画数が少なくても、はんこの文字では画数が多い場合もありますので、注意してください)

 毛筆で、ひらがなや画数の少ない文字を小さめに書くのと同じ要領で、はんこでも画数にあわせて文字の面積を変化させ、全体的なバランスを調整するのが正常なのです。

印影見本「北野千鶴」篆書体
印影見本「野田」印相体

画数の少ない文字を複雑にする事もありますが、面積で調整するのも職人の腕の見せ所です。
この面積調整を行わないと、画数の少ない文字が大きく見えてアンバランスに感じます。左の画像は一定時間で適正な印影とアンバランスな印影に変わりますので、是非比較してください。


3.篆書(てんしょ)の「文字の先端」を見る
篆書体・実印の印面

 篆書の作品見本を探し、線の先端がどのように表現されているか、じっくり確認してください。

 篆書(てんしょ)というはんこ独特の文字がありますので、その文字で作られた実印や銀行印の見本をチェックしてください。右の写真(印面の写真ですが、印影でも区別できます)の下のように、文字の先端が丸ゴシックのようになっているものは駄目です。本当の篆書は写真上のように先端は絶妙な表現になっているのです。

 実はこの表現は、文字のデザインの概念が大きく違う事を証明します

文字の概念の違いクリックで大きい画像が見れます
 左の図は、素人と職人の文字に対する概念の違いです。素人はコンピューターで細い文字を並べた後、クリック一つで線を太くします、太さは全て一定と言う認識しかなく、表現を変えると言う発想が出来ないのです。
 これに対し、手彫り経験者は実際にはんこを彫る際、線の外側(画像の黄色い部分)を彫ります。つまり、「文字は線」ではなく「文字は面積」という認識を持っているのです。ですから機械を使ってもこのようにデザインします。
この両者の違いを知れば、この技術の有無でデザインのバリエーションがどれほど違うかご理解いただけると思います。


4.文字が縦長の印影画像を「縦に圧縮」する
縦長の文字の印面

 銀行印などで「横書き(文字が縦長になっている)」作品をじっくり見てください。可能であれば、その作品画像を縦の方向に圧縮してみてください。

 はんこの中には、苗字や名前を横並びに入れて彫る場合があります。こういったはんこは、左の写真のように、文字が縦長になっています。
 この画像(今回は印面の写真ですが、印影の画像でもOKです)をあえて上下にギュッと圧縮加工してください。圧縮する事で文字の上半分が下半分よりも窮屈に感じれば、その印影は縦長に適した美しい文字を使っていると言うことが分かります。

右の字は左の字より足長に見える 職人は印影をデザインする際、文字が足長に見えるようにします。文字にもよりますが、縦長の文字であれば大抵、下半分が伸びやかに見えて、文字の感覚的な中心部分(専門用語で「重心」と言います)が実際の中心よりも上になるようにするのです。
 これに対し、左の印面は、正方形の文字を無理やり縦長にしただけ。ゆえに、縦に圧縮してもなかなか破綻しないのです。

同じ文字でも横長と縦長ではデザインが異なる

 左の画像は、はんこで使われる篆書(てんしょ)と言う字体の「飴」と言う字ですが、横長と縦長で全くデザインが異なる事がわかります。全ての字がこれほど違うわけではありませんが、職人であれば大抵の字は横長と縦長で文字デザインを使い分けるのです。
しかし、素人であればそこまでする余裕がなく、また縦長の字は横長の字に比べ使用頻度が少ないので、特別にデザインすることなく、正方形の字を縦長に伸ばすだけで終わらせてしまうと言うわけです。


 上記の点を全てクリアする店であれば、まっとうなはんこの技術を持っていることが分かります。
100%では無いですが、はんこ選びで後悔する確率は、何も知らないよりはるかに低くなるでしょう。

もちろん、私の作るはんこはこの条件全てをクリアしてます。
当サイトを隅々までご覧いただき、「印章の玄人」となられた上で、当店ではんこをご購入いただければ嬉しく思います。

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