何で邪道なのか? それは「ルール」が存在せんへんからです。
文字にはちゃんとした「ルール」があります。小学校で習った文字の書き方のようなもんです(これは実はもっと深い話があるのですが、それについては後日書きます)。
はんこで良く使われる「篆書(てんしょ)」と言う文字には、はっきりとしたルールがあるんです。 しかし、縁起がよいとされる「印相」と言う自体は、「字と字をつなげる」「中心から外に広がるように」というのに従って、篆書のルールをぶち壊したもんなんです。
例えば上の写真の「野田」のはんこ。「田」の上部の左右から、縁に向かって線が延びてますわね。「腕」と言うか「触角」みたいな感じで。
こんな「田」と言う字はどの辞書にも載っていません。「その方が縁起がええから」と勝手に線をつけ足しとるんです。
はんこにも展覧会やグランプリと言うのがありますが、その中では「印相」ってのは評価されません。何故なら上記の理由で「ルールがないから評価しようがない」ためなんですわ。
昨今は、はんこは「開運」が主流で、「どうせなら開運の方がいい」と言う風潮がありますが、厳密には開運であることのデメリットもあると言うのは覚えといて欲しいと思います。
しかしその印相、「邪道」であれば彫る人が少ないので広がらないはず…なのですが、実際は多くの職人が彫刻しています。
この理由については次回に書きましょか。