はんこの素材「柘(つげ)」は「エエ素材」? 「悪い素材」?

安いけどエエ素材。ただしパチモンには注意やね はんこにの素材として、「柘(つげ)」って素材があるんですが、この素材、「価格が安い」のと「彫刻に適してる」と言う特徴があります。
 「安い」ってイメージをもってる人は「悪い素材」って感じるんですが、逆に「彫刻に適してる」ってイメージの人は「いい素材」って思ってたりしてます。

 ほな、実際はどうなんか? 今回は「柘」って言う素材について、ちょっと真面目に書いてみようと思います

 ・柘の「偽者」に要注意!
 まず最初に言っておかないといけないのですが、「柘」にはパチモン(偽者)が存在します外国産の「アカネ」って言う素材なんですが、柘よりも密度が低くて脆く、それでいて「シマツゲ」っていう呼び名があるんですわ。これと区別するために、一般の柘は「本柘(ほんつげ)」って言われます。
 職人の店なんかでは、脆くて彫りにくいシマツゲは扱わないんですが、フランチャイズ等では取り扱ってる場合もありますんで、注意が必要です。

 ・「柘」は木の中で最も硬い?
 文字通り「木」篇に「石」って書く「柘」ですが、純粋な硬さだけなら「黒檀」「紫檀」等の方が若干上といわれています。また、最近は杉などを圧縮加工した素材も出回っており、それらの素材にも硬さは若干劣ります。

 ただ、それらの素材は柘よりも脆く、刀で仕上げするとボロボロといった感じで削れてゆきます
 そんな訳で、やはり職人系の店では「本柘」を木製素材の主力商品として扱っているんですね。

 ・朱肉の「油」にご注意!
 柘の一番の弱点は「朱肉」です。朱肉の油が柘に浸透する事で脆くなってゆきます。そのため、朱肉のつけすぎは厳禁です。
 良く、はんこを朱肉や印肉にぎゅ~っと強く押し付ける人がいますが、これは絶対やっちゃダメですよ!! 溝に朱肉の油が入って脆くなりやすいんで! 後日書きますが、はんこは強く押し付けるんや無くて、軽く叩いて、叩く回数で濃さを調節してくださいね。これは柘に限らないですよ。