印章彫刻の「材質」について

 このページでは、当店で取り扱っているはんこの材質について、その特徴を記載しております。
 下にある材質の中から、知りたいものをクリックしてください。


象牙

象の牙(歯)でできた、カルシウム主体の物体
硬くて密度が高く、燃えないため、印章には最適です。

 アジア・アフリカ近辺の象の門歯を「象牙」と言います。たんぱく質成分(人間で言うと「爪」)である牛角と違い、主成分がカルシウムのため非常に硬くて重厚感があります
 なお、象牙は英語で「アイボリー」と言います。つまり象牙の色は純白ではなく、若干黄色を帯びており、なおかつほんの少しだけピンクがかっているものが最高級のハード象牙といわれています。
 なお、象牙は冷暗所に保管すると色が濃くなる特性があり、逆に蛍光灯に長時間当てると白味が増します。
ここ数年、象牙印材の年数が長くなっており、全般的に色が濃くなりつつあるため、最近はわずかに漂白された象牙が増えているようです。象牙本来の美しい色合いを持つものが少なくなってきたように感じます。

象牙のグレード

 象牙は牛角と違って大きくて丈夫なため、芯以外のところが主な印材として使われます。右の図のように中心に行くほど、下の画像のように断面に見える格子状が細かくなります。これが、密度が高くてグレードが高いうと言う証になるのです。ただし、断面に格子状が見えない象牙もあり、その場合は粗すぎて見えない場合と細かすぎて見えない場合があるので注意が必要です。

象牙のグレード 当店では、上記のグレードのうち、「中」と「上」のグレードを主に取り扱っております。「並」は品質が悪くてお客様にお渡しするには忍びないという理由で、また「芯持ち」「横目」は高価である割に脆いと言う理由で取り扱っておりません。
ただ、「特上」も含め、どうしてもご入用と言う方にはお見積させていただきます

象牙の「芯持ち」「横目」が高級なのに良くないって、どういうこと?


牛の角

主成分がたんぱく質で、人間の「爪」部分を凝縮したものに近い。
柘より重く丈夫だが、虫食いに注意。

 水牛や陸牛などにはえている角を用いた印材です。象牙と異なり、主成分はたんぱく質であるため、象牙ほどの密度はありません。しかし柘よりも固く、また実印などの大きいはんこになると、非常の違いにより柘より重く感じて高級感を感じさせます。
 牛の角はその組成から、虫食いの発生の可能性があることに注意してください。虫食いの被害は稀ですし、印章ケースで密封保存しておけば大丈夫ですが、机の引き出しに裸で置きっぱなしにしたり、皮袋に入れただけの状態ですと、印面に穴があく場合もありますので、ご注意下さい。  牛の角は、真に近づけば近づくほど、密度が高くて硬くなります(芯そのものは逆に低密度で脆いのですが)。芯から外れるとはんことして使えないため、これらの素材は全て芯持ちです。下の画像の矢印の先が芯になります

牛の角の芯(矢印の先)

 牛の種類や色合いによって、分類が変わる値段も左右されます。当店では3種類に分類してます。
 下の画像の中から詳細を読んでみたいものをクリックしてください。

  • 黒水牛
  • 牛の角(色)
  • 牛の角(白)

黒水牛

牛の角で最もお手ごろ。朱肉で汚れが目立ちにくいと言う利点も

黒水牛の印面

 東南アジアあたりに生息する水牛の角を原料にしています。自然の状態では若干白い筋が入っており、昔はそれを染料で黒くしていましたが、現在は膨張圧縮加工することによって、真っ黒にする方法が主流のようです。見た目は漆黒ですが。ものによってはうっすらと縦筋が見える場合もあります。

 黒水牛の特徴は、同じ牛の角の中で最もお手ごろでコストパフォーマンスに優れる事。そして、本体が黒いため朱肉による汚れが目立たないという利点もあります。予算的に象牙は無理で、黒い色が好みでないと言う方にお勧めの素材です。

牛の角(色)

灰色~薄い茶色の素材に、濃褐色の筋が見られる素材です。

牛の角(色)

 世界各地の陸牛の角です。黒水牛とは牛の種類が違い、また膨張圧縮などの加工は行っておらず、色合いが天然のため一本一本色調や模様が異なります。このような牛の角のうち、濃褐色の筋が入った物を、当店では牛の角(色)として取り扱っております。

 黒水牛より高価になりますが、天然独特の色合いをお求めの方や、象牙が予算に合わず、かつ白い材質でお作りになりたい方はお勧めです。
 ただし、色合い1本ごとに微妙に異なるため、好みに色調のものなるかは保証できませんので、ご了承下さい

牛の角(白)

灰色~薄い茶色の素材に、濃褐色の筋が見られる素材です。

牛の角(白)

 牛の角(色)と同じく、世界各地の陸牛の角です。黒水牛とは牛の種類が異なり、また膨張圧縮などの加工は行っておらず、色合いが天然のため一本一本色調や模様が異なります。このような牛の角のうち、濃褐色の筋がないを、当店では牛の角(白)として取り扱っております。

 濃褐色の筋はありませんが、うっすらとした縦筋がみられ、また色も均一ではなく、部分的に灰色がかったり、薄茶色がかったりしています。
黒水牛や牛の角(色)より高価になりますが、象牙以外で極力白い材質でお作りになりたい方はお勧めです。
 ただし、色合い1本ごとに微妙に異なるため、好みに色調のものなるかは保証できませんので、ご了承下さい

 


柘

石のように硬くて脆くない、天然木製品として加工に最適な素材。
朱肉の油の浸透で脆くなるのが欠点です。

柘 一般的に「薩摩柘植」と呼ばれる、国産の柘植(つげ)という木から作られる印材です。
 「柘」という名からもわかる通り、石のように硬く、天然木材の中では非常に印材として優れています
 「柘植」の中にも様々な種類があり、中には軽くて非常にもろい性質のものもありますが、当店では高い品質である国産の薩摩柘植を印材として用いております。

 はんこに用いられる木材としては、柘の他に黒檀(こくたん)や、杉などを圧縮加工して強化したものがありますが、いずれも柘より固いものの、脆さがあって総合的な加工特性は天然の柘植の方が上だと思っています。

柘植(木) 当店の柘は表面にニス加工を施しているため、光沢があり、また印材表面の汚れに強くなっております。
 ※象牙や水牛と比較すると硬さには劣ると言われますが、もろさのあるプラスチックよりは印材に適しており、適切な手仕上げを施せば悪い落とし方をしない限り、欠けたりはしません。
 ただし、木の組織が朱肉の油に弱く、頻繁に印面付近が朱肉と接すると油が組織に浸透して脆くなると言われております。
 過去に、柘の角印で文字部分ががボロボロに欠けたはんこを見たことがあります。おそらく、印肉(昔良く見られた粘土状の朱肉)をはんこの溝に詰めたままの状態で長期間保存し、柘が脆くなったところにブラシ等で強くこすったのではないかと思います。
 どのはんこにも言えることですが、柘の場合は特に朱肉に強く押し付けないようにして下さい。

「強く押し付けたらダメ」って、じゃあどうやって朱肉をつけたら良いの?


その他の印材

その他の印材には、チタン・宝石印・プラスチックなどがあります。

チタン
 軽くて丈夫な反面、高価であると言う特性から、最先端技術関連で用いられる事の多い素材です。純度の高い純チタンと、硬度を高めたチタン合金があり、耐久性が高いといわれていますが、「絶対欠けない」と言うわけではありません。
 彫刻には、印面に専用のオイルを浸して、特殊な針で彫る方法と、サンドブラストと言う細かい砂をたたきつけて彫る方法があります。当店では現在のところその様な彫刻体制を整えてない事もあり、商品としてラインナップはしておりません。
宝石印
 水晶や翡翠などの硬度の高い素材です。その硬度の高さの一方で脆くもあるといわれています。ガラスは簡単に割れますが決して柔らかくないように、硬さと欠けにくさは必ずしも一致しないので、その点はご注意下さい。
 彫刻にはチタンでも紹介したサンドブラストと言う方法で行うのが一般的です。
 当サイトでは、彫刻体制がないこと。価格の割に脆い素材である事。そして素材の美しさより印影の美しさを重視したい事から、宝石印は取り扱っておりません。
プラスチック
 透明感のあるお洒落な素材として人気のプラスチックですが、その脆さは酷く、一生もののはんことしてはお勧めできません。また、お洒落に見せるために材料が非常に高く、この素材でお洒落を売りにしている店舗は、極力彫刻に手間をかけない傾向があります。
 当サイトで印影の大切さをご理解いただけたのであれば、この素材ではおつくりにならないのが賢明です。
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