「手彫り」が「機械不使用」と言う意味ではない理由

手彫りの工程

 この「理由」について語る前に手彫り印章の工程について話さないといけません。
 右のように、印章彫刻には「字入れ」「粗彫り」「仕上げ」と言う工程に分かれています。このうち、最初の「字入れ」と最後の「仕上げ」については、世界で一つの素晴らしい「証」を生み出すために重要な要素ですが、途中の「粗彫り」については他の工程より重要度が低く、手彫り職人は弟子(入門したての人を含む)にやらせる事が多いのです。

 つまり、粗彫りは他人に任せる事が多く、それが弟子なのか機械なのかの違いでしかないんです。
大切な事は「世界に一つな、立派な証」を造れるか否かであり、そのための過程はさほど重要ではない。というのが、印章職人の共通した認識になっています。ゆえに、多くの手彫り職人が彫刻機を使用しており、彫刻機が苦手な人だけが完全手彫りを行っているのが現状なのです。

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